そとは まっくろで はりのような 雨にあたり

「いたい!」

ゆめの中で かんじた いたさと いっしょでした。

大きく いきをすい「どっかいって~」と おおごえで さけびましたが

まったく おさまりませんでした。

いちど いえの中に入り、おかあさんを さがしました。

「おかあさん どこ?」へんじが ありません。

「どこ?」

「ゴホゴホ」

かすかに せきをするこえが きこえました。

へやのとびらを あけました。

ガチャ

そこには おかあさんが くるしそうに ねていました。

「だいじょうぶよ」と しんぱいをかけないように えがおで こたえました。

ねねは、なきながら おかあさんにちかづき 手をにぎりました。

おかあさんのうでが 赤くはれていました。

「おかあさん、いたい?」

「ほんのすこしだけ」

「すこしのあいだ がんばって まっててね」

とつたえ へやを 出ていきました。


ねねは あたたかそうなふくを きこんで、げんかんのドアをあけ まだまっくらで ゴロゴロ、ゴーゴー

と なりやまない そとに出て おばさんのいえまでむかい はしりました。

「だれか そとにいるぞ~」

「ほんとだぁ」

「こわがらせてやろう!」

「もうかえろうよ~」

「きたばっかりだから もうすこし あそんでから」

「かえりたかったら かえれよ」

なにもいわず、はなれていきました。

たどりつくと ゆめで見た きいろのくびわをした犬が 大きく しっぽを ふっているのを 見つけました。

ちかづいていくと 犬も立ち上がり みちあんないを しているかのように すすんでいきます。

「ちょっと まってよ~」

「なんでいるの?」

犬は ふりむくこともなく すすんでいきました。

休むじかんもなく、犬を見うしなわないように 早足であるき、足がいたくても 休もうとせず さかみち

を 上がっていきました。

その先に でこぼこしたいわに かこまれたあなが 見えてきました。

犬は ねねが ついてきているかどうか かくにんするかのように うしろをふりむき

「こっち こっち」

「ガンバッテ」

といっているように しっぽをふり すわって まちました。

そして おいついてきたので すわっていた犬が立ち

あなに入っていきました。あなに入るまえに 立ちどまってしまい、

はじめて入るあなに こわさもあり、

足がまえにすすみません。

「こわいなぁ~」と なみだが 出そうになりながら うしろをふりむき。

くらくなっている空が とおく見え しょうめんをむき 犬のほうに

からだをむけ いっぽいっぽ あなにむかい すすみました。

あなの大きさは あたまをうちそうなたかさで まっくらで

犬のすがたも 見えません。

大きなこえで ないてしまいました。

ねねのなきごえとどうじに あなの中が まるで うちゅうにいるように 石やいわが むすうにほしのように

かがやき 犬のほうまで みちを つなげてくれました。

「キレイ」

と なきやみ うっすらと見える 犬にむかい はしり出しまた。

あなの出口から出ると 犬のまえに 大きなくもが

グーグーと ねていました。

おこそうと ゆすっても まったく おきません。

「もう!」と ふわふわとした くもを ひっぱりました。

「ギャー」と くもが びっくりしたように とびおきました。

「だれ?」

と ゆっくり ふりかえりました。

ねぇ!」

「なんで いたずらを したりしたの?」

「ほんとうは したくないんだよ」

「おにいちゃんたちに おこられるのが こわくて・・・」

「だけど きょうは、はじめて さからったかもしれない」

「たのしくないし」 ゆっくり くもにちかづき、

よしよしとなでて、ひっぱったりして。

「ごめんなさい」

くもは てれくさそうに

「べつに・・・。だいじょうぶ」

「なんで こんなに たかいところまで きたの?」

「くもの上にある りんごの木を さがしにきたの」

「ワハハハ」

「そんなの 見たことも きいたことも ないよ」

「あるもん」

「ないよ」

「あるもん」

「ないよ」「ある」「ない」「ある」「ない」のいいあい。

そのとき 犬が 空にむかって

「ワン」

と はじめて なきごえを出し くもの上にうっすらと きいろの

はが きれいな木が あらわれました。

「ほら、あったー!」

「ワハハハ、ほんとに あるんだぁ~」

「わたしも いってみたいし、うえにのって~」

ねねは 犬をだきかかえて 先にのせ くもの上に のりました。

「しっかりつかまってて! いそぐよ~」

きいろのはが きれいな木は あともうすこしで きえてしまいそうなぐらい

うすくなっていました。

「はやく~」

「わかってるよ~」

「よし ついたよ」

「木のそばまで 早く~」

木のそばまでちかづき ゆっくりと おりました。

木に ちかづくと

ゆめのときとおなじで だれかにまもられているような

あたたかいかんじがあり 木に手を

あてて だきつきました。

「あのときの おじいちゃん?」

「そうじゃ」

と こたえるように やさしく あたたかいかぜが

すっと ふきました。

そして・・・

上から まっかなりんごが おちてきました。

おとさないように しっかりりょうてで とりました。

うしろの犬にも つたえようと ふりむいたら

犬は きえそうになっていました。

なきながら「ありがとう」と さけびました。

犬が うれしそうなかおで 大きくしっぽをふりながら

「ワン」

と ねねにむかって なきました。

犬たちは まほうのように ぱっときえました。

「きゃー」と さけび きゅうこうかしていきます。

だいじなりんごを 目をつむり ギュッとだきしめ まもっています。

くもが ねねを たすけにむかいます。

「もうすこし、もうすこし」

「あとちょっと、あとちょっと・・・」

「フゥー」

「まにあった~」

「だいじょうぶ?」

「うん」

「早く おかあさんのところへ いかなきゃ」

「ここまできたら いえまでいくよ!」

「ありがとう」

「しっかり つかまってて」

すごいスピードで いえのほうこうに むかいました。

「あれ? なにやってんだぁ?」

「かえったんじゃなかったのか?」

「早く おかあさんのところにいって」

くもを よしよしと なでました。

「もういちど かえるように いってみるね」

いえへ入って すぐに おかあさんに りんごを たべさせてみました。

かおのあたりも まっかになって

いて たいりょくも よわっていたので

なかなか かんで のみこめない じょうたいです。

「おかあさん ガンバッテ」

「おねがい」

「おねがい」と 手を にぎりました。

ゴクンと りんごを のみこみました。

みるみるうちに 赤くなっていたかおや手が おさまっていきました。

「もうかえろうよ!」

「まだ!」

「いやだ!」

ごういんに 手をひっぱり かえろうとします。

「わかった」

「もうかえろう」

まっくらだったのが ゆっくりと 青空に かわっていきました。

おかあさんが ゆっくりと おき上がりました。

げんきになってあんしんし、外が気になり げんかんのドアをあけました。

ガチャ

空いっぱいに 星空がひろがり

あたたかいかぜが ふいていました。

「よかったぁ」

上を見上げ空にむかって

「ありがとう」

へやにもどり

「おかあさん」

「おたんじょうび おめでとう」