青りんごのような みどりが たくさんある おいしそうな りんごの かたちをした はなれこじまの

おはなしです。

「きょうも おかいもの?」

「うん」と すごく たのしそうな えがおで へんじをし、

「きょうは おかあさんの おたんじょうびで いっしょに アップルパイを つくるんだぁ~」と 手を

ふりながら いえのほうへ むかいました。

スキップを しながら かえっていると、つまずいて ころんでしまい おおごえで なき出しました。

すると まえからやってきた おじいさんが、「げんきな子じゃのう」と ゆっくりと 手を さしのべて

くれました。

おじいさんの 手は あたたかく、ねねは げんきになり「ありがとう」と いいました。

おじいさんは、「きょうは 天気が あれそうじゃ」と 空を 見つめました。

ねねも 空を 見上げましたが、くもが 一つもなく 青空いっぱいでした。

「へんな おじいさん!」と おもい 立ち上がりました。

「下をむかず まえを むくんじゃぞ!」

「うん、ありがとう。バイバイ」と 手をふり、いえに かえりました。

「ふぁ~あ」

「すごい たいくつだぁ~」

「早く いえに かえろうよ~」

「ん?」

「あそこに しまが あるよ~」と しまに むかっていきました。

「ただいま~」

「おかえり。おそかったね~」

ねねは うなずきました。

「なにか あったの?」

「なにも なかったよ」

「そう~」ほほみながら こたえました。

おかあさんは わかっていました。

いつも こえを出さずに うなずいたときは どこかで また ないているのを しっていました。

「さぁ! ゆうしょくの じゅんびも できたし、パイを つくりましょう」

「よ~し、あとは やいて まつだけね。

いつものように おねがいしま~す」

「は~い!」

ねねは アップルパイを おとさないように ゆっくり オーブンの中に 入れました。

そして

せ~の!「おいしくなってね」と 二人で こえを あわせました。

こうばしいにおいと サクサクきじの アップルパイを見て えがおが とまらず 「いただきま~す」ふぅーふぅー 大きく 口をあけて パクリ「モグモグ」 口の まわりに サクサクの きじが いっぱい つきながらも また ひとくち ふたくちと あっとい うまに なくなりました。

「ごちそうさまでした~」と おさらを あらいばに もっていきました。

そして、お気に入りの 犬の ぬいぐるみを だきかかえて くものような もくもく フワフワとした

クッションに ねころびました。

あっというまに ゆめの中へ・・・

クンクン、ペロペロと、犬の ぬいぐるみと そっくりな犬が、しっぽを ふりながら いっしょうけんめ

い ねねを おこしていました。

ねねは ゆっくりと 目を あけました。

目のまえに とっても大きく りっぱな りんごの木が 立っていました。

ここちよいかぜと、フワフワしたくもに きもちがよくなり、もういちど 目をつむり ねむろうとしたし

ゅんかん「ペロペロ」と かおを なめてくる犬に 目を さましました。

ゆっくりと おきあがろうとすると、うまく おき上がれません。うみのなみのように ゆれていました。

「わぁ~ なにこれ?」と また おきあがろうとすると ころんでしまいました。

しかし、ふしぎと いたくありません。

「大きな クッションの上に いるみたい」

きいろの くびわをした犬が「こっちだよ」と いっているかのように すすんでいきました。

犬と同じように 四つんばいになって「いち、に、いち、に」と いっぽずつ すすんでいきました。

犬が 足をとめ、下を のぞきこみました。ねねも おそるおそる のぞきこんでみると、りんごのかたち

の しまが 見えました。

「わぁ~!ねねのしまって りんごの かたちを してたんだ」

しまの かたちを みたことがなかったので しらなかったのでしょう。

「すっごく カワイイね!」と 犬に むかって えがおで いいました。

犬は しっぽを大きくふり「そうだね」と いっているかのような しぐさをしていました。

ぐぅ~ぐぅ~と 大きな音が しました。

ねねは はずかしそうに おなかをおさえ「おなかがへったなぁ~」と 見上げました。

なぜかきゅうに 空がくらくなり カミナリが ゴーゴーとなりはじめ、つよくて つめたい はりのよう

な チクチクとする雨が おそいかかってきました。

「こわいよ~」「つめたくて いたい!」

グスッグスッと なきながら 木のほうへ むかいました。

なんとか 木の下に たどりつくと、おじいさんと 手を つないだときと おなじで あたたかく なに

かに まもられているようで、いたくも つめたくもありません。木に つかまって 立ち上がり、ねねは

まだ やまない カミナリや 雨にむかって

「どっかにいって~」と おこりながら さけびました。

木の ふしぎな力が あったのか 空が あかるくなり 雨は やみ、青いっしょくに なりました。

「もぉ!」と まだ いかりが おさまらないまま、木に もたれるように すわりこみました。そして 雨にぬれた うでを見ると 赤く はれていました。それを見て また おおごえで ないてしまいまし た。 大きく しっぽを ふっている犬が りんごを もってきました。


これを たべてと いうように ポトッと 手の上に 赤りんごを のせました。ねねは 犬の あたまを

なで、ありがとうと えがおで いいました。

りんごを カプッと かじり、シャキシャキと 音を たて「おいしい~」 からだが あたたまり 赤くな っていた、うでが みるみる いつものいろに もどりました。 そして なきつかれていたのも わすれるぐらいに げんきに なりました。


犬を だきしめました。

「ありがとう」


ゴロゴロ、ゴーゴーとなる かみなりと つよい雨の音で ゆめから 目ざめました。

目を こすりながら げんかんの ドアをあけて そとへ 出ました。「ガチャ」